「動画」3分でわかるGMP
内容
今回は、医薬品の製造所の仕組みであるGMPについて解説いたします。
このシリーズは医薬品の製造所に新しく勤務される方、医薬品産業に参入予定のサプライヤー様向けに作成しております。
飲むときに、この薬には有効成分が「ちゃんと入っているのだろうか」「効能でうたわれている以外の効果がある成分が含有しているのではないか(有効成分の副作用は別)」と疑ったことがあるでしょうか。
世の中に流通している医薬品を「怪しいから飲まないでおこう・・・」と疑わずに飲むためには「医薬品には異物が含まれていない」「効き目のある成分が適量含まれている」ことが前提になっている必要があります。そうでなければ、医薬品を安心して使用するために飲む度に薬を1錠1錠分析する必要があるかもしれません。
医薬品は人の健康に影響を与える製品であり、前提として製品として信頼される必要があります。
医薬品の製造所は、適切な品質(有効成分が適量含まれている。不純物が入っていない等)の医薬品を作らなければなりません。
適切な品質の医薬品を常に作り続けるための仕組みとして「GMP」というものがあります。GMPは、「Good Manufacturing Practice」の略称です。日本語に訳すと優良製造規範といったところでしょうか。飲食店を例に見てみましょう。
皆さんが定食屋で調理のアルバイトをしていたとします。そこには、調理器具が必要でしょう。お店の味として調理する人で味が大きく変わってしまわないために、マニュアルがあるかもしれません。マニュアルを読んだだけで分からなければ、先輩から教えてもらう必要もあるかもしれません。また、調理をし、料理を提供するためのお店が必要です。お店は、衛生的にきれいなところがよいでしょう。
医薬品の製造も同様です。医薬品を製造するためには製造のための設備・機器が必要です。設備機器は、メンテナンスする必要があります。SOP (Standard Operating Procedure)と呼ばれるマニュアルもあります。SOPは標準操作法という意味です。遵守しなければならない手順です。書いてあるだけでなく、きちんとスタッフに教えることも必要です。これらの製造を行うための工場はきれいな衛生環境で製造をする必要があります。これらはルールや教育など形のないものをソフト、設備機器等の形のあるものをハードと呼んでいます。
横にスクロールしてご覧いただけます。
飲食店 | 医薬品製造所 | |
---|---|---|
ハード | ・お店 ・調理器具...etc |
・工場 ・製造設備...etc |
ソフト | ・調理マニュアル ・教育 ・ルール...etc |
・SOP ・教育 ・ルール...etc |
テレビゲームも、ハード(機器本体)とソフト(ゲームアプリケーション)があってはじめてゲームができるように医薬品もハードとソフトがあって製造が出来ます。これらのハードとソフトにわたって、どのように医薬品づくりを行えばよいのか、必要なルールを決めているのがGMPです。
GMP の発祥はアメリカと言われています。1960年前後にサリドマイド事件という世界的な薬害事件が起きました。従来の医薬品の審査制度は不十分だったのですが、この事件を機会に、アメリカでは医薬品の審査を厳しく行うことが求められました。そういった背景から1962年に生まれたのがGMPです。
日本もその流れを受けて、1974年に製造及び品質管理に関する基準が行政指導として発出されました。これが今の日本のGMPの元となり、今ではこのGMPに適合していなければ医薬品を製造販売してはならないと決められています。
1960年前後
サリドマイド事件
サリドマイドとは、1957年に開発された鎮静・睡眠薬。妊婦のつわり止めにも使用されていた。
1963年
GMPが法制化
医薬品審査の厳格化
1974年
医薬品GMP指導基準の公示
行政指導として発出された。